日産フェアレディZ NISMO(RZ34)

今回は日産フェアレディZ NISMO(RZ34)をご紹介致します。

日産のスポーツカーとしてGT-Rと双璧を成す存在として知られるのが通称・Zこと「フェアレディZ」。

2022年にRZ34型が発表され、そのスタイリングは歴代Zのそれぞれのシンボリックなデザインを踏襲したものとなった。
フロントマスクとサイドシルエットは初代S30型、テールランプはZ31/Z32型をマッシュアップしたもの、ハッチにかけてのルーフラインは先代Z34型と歴代Zに敬意を払いつつも現代的なものに仕立てられている。

またS30型にはかつていくつかあるグレードのうちの特に特徴的な「240ZG」と「Z432R」に設定のあったカラーを、
RZ34のNISMOではない標準車に「グランプリマルーン(240ZG)」をイメージした「バーガンディー」や、「グランプリオレンジ(Z432R)」をイメージした「432オレンジ」を特別塗装色としてオーダーできるようになっている。

加えてセットオプションには「Customized Edition」と呼ばれるパッケージがあり、こちらを装着するとよりS30Zの雰囲気に近づけた形状となるフロントバンパーとリアスポイラーが装着されるだけでなく、リアフェンダーに装着されるオーナメントはS30Zに装着されていたものをオマージュしたものに変更、ボンネットにはS30Zを意識したプレスラインを強調するデカールとサイドデカールを装着され、S30Zに良く似合うことで装着している人が多かったRS〇タナベの〇イトスポーク風のアルミホイールに変更というセットオプションの内容となっている。

そして今回の主役であるNISMOはRZ34をベースにNISMOのワークスチューンを施しパフォーマンスを高めたもの。
NISMOの名を冠したグレードはGT-Rは言うまでもなくノートオーラやスカイライン、リーフ等にも設定されてきたのは、
よく知られているところ。

RZ34 NISMOはパッと見で標準車と違う箇所は専用のエアロパーツやレイズ製アルミホイールの装着、レカロ製セミバケットシートの装着しているのは分かるだろう。空気抵抗低減を狙った専用エアロパーツの装着により標準車よりも40mm程長く、車幅は計25mm程ワイドになっている。

メカニズム面でのNISMOと標準車との違いは、まずミッションが標準車では6速マニュアルトランスミッションと、
9速のトルコン式オートマチックトランスミッションの2パターンから選択することができるがNISMOでは9速のトルコン式オートマチックトランスミッションのみとなる。これは昨今の著しい技術の進歩に伴い、速さを求めた走りをする場合は6速マニュアルトランスミッションよりも9速トルコン式オートマチックトランスミッションの方が速いからという判断の上からだそう。

単純に段刻みの多い9速の方が6速よりも高回転を維持できる=エンジンのパワーバンドから外すことなく走れるという事である。
また従来ではトルクコンバーター式(流体クラッチ)のオートマチックトランスミッションはデメリットとして、
構造上、滑り感が強くスポーツカーのトランスミッションには不向きなフィーリングのものが多かったが、
RZ34に採用されるオートマチックトランスミッションはジヤトコ製のJR913E型を採用、これは北米日産専売車種のSUV・「フロンティア」や「タイタン」に採用されている9速オートマチックトランスミッションでこちらをベースに改良したもの。
ミッションインプットシャフト支持部のボールベアリング化などによる変速スピードのアップやロックアップ制御の変更、ミッションハウジングのマグネシウム合金化による軽量化などスポーツカーに組み合わせるトランスミッションらしい特性に仕上げているのも特徴。

それからエンジンは標準車、NISMO共に3リッターDOHC・V型6気筒ツインターボのVR30DDTT型して搭載されている。
先代Z34型は3.7リッターDOHC・V型6気筒自然吸気のVQ37VHR型エンジンであったがRZ34では排気量を3リッターまで落とし、
そこにターボチャージャーを2基装備することで昨今流行りのダウンサイジングターボ仕様となっている。

VR30DDTT型エンジンはスカイライン400Rに搭載されたのが初出。そして肝心のスペックは標準車に関してはスカイライン400Rと共通の405馬力/6,400rpm、48.4kgf⋅m/1,600~5,600 rpmというもの。そしてNISMOはというと標準車と比べて馬力は15馬力アップの420馬力/6,400rpm、トルクは56.1kgf⋅m/2,800~4,400 rpmと特にトルクは標準車と比べて大きく向上しており、ダウンサイジングしているとはいえ3リッターもある大排気量のエンジンが載ったスポーツカーらしいトルクに乗るような感覚のエンジンであることを実感できるスペック。最大トルクが56.1kg・fもあればどこからでも、いつでも即加速できる怒涛のトルクを堪能できるのは言うまでもない。

RZ34はZ34のプラットフォームをベースに車両開発をすることで開発コストを抑えるだけではなく、陸運局の製造認可のために必要な書類作成の時間のカットや試作車の衝突テストなどの型式取得費用を抑えこれによって販売価格も抑えるのが目論見で、
RZ34は事実上のZ34のマイナーチェンジ版という事だが内容から言えばほぼモデルチェンジに近い内容の変更となっている。

サスペンション構造についてはフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式となっているが、
この組み合わせを採用するクルマの代表的な例を挙げるとポルシェ・911(Type-992)や、マツダ・ロードスター(NCEC、ND5RC等)などに採用されており、走りの質を求めるクルマにとってある意味定型文のような組み合わせと言って差し支えがないだろう。

ただサスペンションはZ34のプラットフォームをベースとしているが故にサスペンションアームとジオメトリはほぼZ34との変更は無いがフロントのサスペンションはキャスター角がZ34よりも角度が付くようになっており、これは直進安定性を狙ったものだと考えられる。なぜならRZ34はホイールベースが2,550mmと現行のトヨタ・GR86やスバル・BRZの2,575mmより短くなっており、これはホイールベースを短くすることで旋回性能の向上を狙いつつもフロントサスペンションのキャスター角をつけることによって直進安定性を出し、曲がる事と真っ直ぐ走る事のバランスを取ったチューニングなのではないのだろうかと思う。
ちなみに現行のトヨタ・GRスープラもホイールベースに関しては同じ2,550mmとなっておりこちらも似たような意図であろう。

またNISMOでは標準車と比べて電動パワーステアリングのプログラムを変える事でより路面状況をダイレクトに把握できて、かつクイックなステアリング特性としており、ダンパーはシリンダー径を拡大、スプリングレートはアップとすることで標準車よりもロールを抑えたセッティング、各種ブッシュやスタビライザーも併せて変更することで標準車比でロール剛性約12%アップとのことだ。スピードが出るクルマにとってロールスピードを抑えることは高速走行時での車体の安定感に寄与するだけではなく、運転するドライバー側の心理としても高速走行時にロールが多いクルマは不安感を増大させる事になるので正しい進化と言える。
確かに標準車では軽快感を意識した足回りのセットアップにより「これはこれで楽しいクルマ...」と感じるが、
スピードを求めたドライブをしようとするとロール感が少々怖く感じさせるところをNISMOではしっかりと払拭してきた。
加えてブレーキはNISMO専用で前後にアケボノ製の前4ポット、後2ポットの対抗ブレーキキャリパーを装備することで、
クルマにとって大切な三箇条の「走る・曲がる・止まる」をハイレベルに両立させたクルマになっているのだ。

「ワークスチューンがされたクルマらしいリアルなスポーツカーになっている」という言葉で締めくくろう。

今回のオーダーはボディの塗装箇所全面へのプロテクションフィルム施工とその施工箇所へのフュージョンプラス施工、
そしてフロントガラスへウインドシールドプロテクションフィルム<WPF>のコンプリート施工+コーティングといった、
最上とも言える組み合わせをチョイス。

ボディやフロントガラスに対する抜かりのない飛び石やキズへのプロテクトとボディへの汚れの付着を徹底的に抑えるフュージョンプラス施工により「キズや汚れなどどこからでもかかってきなさい」と言わんばかりの完璧なコンプリートセットの完成、PPF+WPF+フュージョンプラスの施工でオーナー様には安心してその質の高い走りを心から楽しんで欲しいと願うばかりである。